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本稿では,2011年7月から2012年6月にわが国で発表された成人・老人を対象とする発達研究の動向を概観した。本年の研究数は少数であったが,生涯発達的観点を有する研究が増え,着眼点の多様化がうかがわれた。本稿が依拠するBaltesの生涯発達理論の概説に続き,本年のわが国における研究を概観した。対象年齢は20代(大学生を除く)から80代,論点は「経験による発達」「移行」「Eriksonの発達モデル」の3点とした。「経験による発達」では,成人の大半が経験する親や夫婦としての経験等から,病気の診断,障害のある子どもの親としての経験等,より個人的なものに至るさまざまな経験がもたらす発達が論じられていた。「移行」では,女性の職業適応の青年期から成人期への移行,夫婦関係と精神的健康の中年期から老年期にかけての移行に関する研究が見られた。「Eriksonの発達モデル」では,高齢者の世代性に関する研究,高齢者を対象に,基本的信頼感の形成に寄与する母親的人物の内的変容過程を検討した研究が見られた。最後に,成人・老人の発達研究における困難と課題,今後の展望について論じた。
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